【 海外ファンのモナコ滞在記 】
( VOL.56 / Aug 1993 )
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■5月11日(火)■
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けさの新聞に、マイケルがモンテカルロに到着したとのニュースが載った。
モンテカルロは美しい街だ。 天気も素晴らしく、道ゆく人々の服装にこの街の豊かさが表われている。
5月9日、ヘリコプターでモンテカルロに到着したマイケル
私は、マイケルの泊まっているパリホテル(オテル・ド・パリ)に直行した。
既に人だかりになっていた。 その中に知り合いはいなかった。
殆んどの人はバカンス中の野次馬だが、数人のジャーナリストもいた。 その中の1人が、私の "KING OF POP" の文字の入った帽子を見てインタビューしてきた。 その記者はアメリカの 『スターズ・アンド・ストライプス』 誌の人だった。
再びマイケルのそばにいるのだ。 最高の気分!
私が思うに・それに後で聞いたところ、マイケルの部屋は海の見える最上階にある。 マイケルはいつも最上階の一番良い景色の部屋に泊まる。
その "最上階説" は、すぐにマイケル自身が証明した。 18時と20時,さらに22時にバルコニーに現れたのだ。
マイケルは、バルコニーから花を投げてくれた。 ところがその後からバケツの水も降ってきた。 天から降る雨のような様々な種類の花を取ろうと思ったらズブ濡れになる覚悟が要る。
はじめは、突然雨が(しかもドシャ降りの雨が!) 降りだしたのかと思った。 しかしそれは、紛れもなくマイケルの仕業だった。 彼はどうやってこんなに短い間隔で水を汲んでこられるのだろう? とても愉快な出来事だった。
昨年('92年12月) 日本で体験したような幸せな気分になり、感極まってしまった。 水が降ってくる中、花を取りながら泣いてしまった!
5月10日、アルベール王子とホテルで会食
その日の夜遅く、100人のイタリア人のファンと私以外が引き上げた後、マイケルは再び姿を見せ、私たちに話しかけた!
私たちが最初にし,そして最も重要な質問は、 「彼が幸せかどうか」 というものだった。
答えは 「Yes!」。
今年の初めの 『オプラ・ウィンフリー・ショウ』 の中で 「達成中」 と答えていた質問で、その答えはとてもステキな答えだ。
次に、イタリア人の少女が質問した。 「今年中('93年)に再びヨーロッパでツアーをするの?」。
彼はハッキリと答えた。 「夏にやる」。 (そのツアーは本当に8月半ばに始まる)
私も彼に質問した。 「次はどこでツアーをするの?」。
マイケルは 「イタリア」 と答えたが、彼は聞きまちがえたのだと思う。 いちばん好きな国を訊かれたと思って、イタリアの女の子達を喜ばせようと 「イタリア」 と答えたのだろう。 彼女たちの声がマイケルには一番よく聞こえただろうから。
イタリアの女の子たちは、たくさんの質問をした。 答えはすべて 「Yes!」。 マイケルが同じ言葉を繰り返すのを聞くのはおかしかった。
しかしマイケルと話す時、 「Yes」 はただの 「Yes」 ではない。 この 「Yes」 には感激がいっぱい詰まっている!
私は、彼がファンに囲まれて このようにパフォーマンスするのを見てきた。 彼は私たち皆に愛をくれるのだ。
さらに夜は更けて、私たちはローソクに火をつけて花を持ち、明け方までずっと歌い続けた。 歌は "Heal The World", "Michael Put Your Hand Out" ("Someone Put~" の替え歌)。
あとで判った事だけど、私たちのせいで (同ホテル宿泊中の) ロッド・スチュワートは一睡も出来なかったそうだ。 でも、私たちは幸せだった。 私たちはこの気分を表現し、その夜マイケルが私たちにしてくれた事に感謝したかったのだ。
【※編集より: 周囲の迷惑を顧みない“表現”は マイケルへの悪評にも繋がるので、深慮ある行動を心掛けたいものですね 】
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■5月12日(水)■
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午前3時ごろ、授賞式の行なわれるスポーツホールに歩いて行きがてら、自分の泊まるホテルとショーのチケットを探すことにした。
ホテルは簡単に見つかった。 何しろ海沿いにホテルはごろごろある。
ただし、チケット探しはまた別の問題だ。 ひどいことに、ほんの2日前までチケットの入手は簡単なことだったが、今は100ポンド(約1万7千円)の値がついているという。
建物に入れるのなら、マイケルを観られるのなら、100ポンドも惜しくない。 何しろホールは小さくて、観客は小さなステージすぐ側にいられるのだから。
チケットが欲しい!
その建物だが、不思議なことに出入自由だった。 私がバックステージやその他を歩いていても、全部で2人の人間としか出会わなかった。 その2人はショーのための照明を取り付けていた。
私は今まで、スタジアムでプレイするマイケルしか観たことがないので、そんなに小さなステージでの彼を想像できない。 チケットを持っている人はなんて幸運なのでしょう!
その夜、私たちは何とか授賞式を観ようとやってみたが、努力はムダに終わった。
私たちは警備員の間をうまくすり抜け、建物内には侵入できた。 しかしチケットが無くてはホールの中には入れない。
それに、そこが早朝に来た場所と同じ所とは信じられないぐらい、大勢の警備員がいた。
諦めてホテルで待つことにした私たちに、素晴らしいご褒美が与えられた。
マイケルが戻り、階段を上がってくる。 彼と私の目が合った。 ピースサインを示し、手を振ってくれた! 授賞式を見逃したことなどどうでも良くなってしまった!
その直後、イギリスの友人たちがホテルのロビーから興奮して飛び出してきた。 彼らもマイケルに会えたのだ。 マイケルが夢を現実に変えてくれた。
その夜、マイケルは再び水撒きをした。
私たちの真似をして手を振ったり、私たちが歌うと拍手してくれた。
殆んどの人たちがホテルから去っても、ウィリー,フレイア,マリアと私は 夜どおし歌を歌い、ホテルの庭にシュラフを広げた。 マイケルはそれを見て大笑いし、指差してくれた。
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