【 チケット奮戦記 - DANtour@Tokyo 】 1992年10月 ( VOL.42 / Dec 1992 ) それは厳密に言うと、約1ケ月前から始まりました。 とにかく、整理券を手にしないことにはマイケルも見られないという真剣な想いだけが先走っていたので マイケルが来るとか、再び彼のステージが観られるという嬉しさや実感は まだほとんどありませんでした。 来日公演予定をダントツ第1報で伝えたサンケイスポーツ(92年6月15日付) まずは、会社の帰りにキョードー東京本社と東京ドームをひと回りパトロールすることから始まりました。 毎日頑張っている人もいて、感心しながら帰宅していました。 その頃とっても困ったのは、整理券の発行日が判らないこと・コンサートの日程が判らないこと・そして、キョードーと東京ドームのどちらに並ぶのが効果的なのかが判らないことでした。なかなか判らなくて、私たちの脳ミソはすっかり便秘していました。 こんな風に苦労している最中に、TVのニュース等で、ヨーロッパにいるマイケルがカッコ良く 気持ち良さそうに歌っているところを観たりすると、マイケルを恨めしく思ったりしたものでした。 そうこうしているうちに、いよいよ24時間体制に入る時期が来ました。 と言っても、昼間は1人・夜や夜中は2人程度でした。それに、ただウロウロ遠巻きにその辺にいるという感じで、決して列を作るとか並ぶといった状況ではありませんでした。 東京ドームでは、プロ(?)の人たちが食糧や電話・寝袋などを備えて、既にグループでチケット窓口のあたりに陣取っていて、私たちや同じような事を考えてる他のファンの人たちが近づくたびに、"今から並んでも混乱を引き起こすだけだし、まだまだ早すぎるから…" ということで、帰るように言われるのです。そこで私たちは、その人たちの邪魔にならない所で、自分たちの次の交代が来るまで頑張りました。 夜中は想像していたよりも寒くて、歯が勝手にガチガチと鳴りました。けれど、12月のコンサートの頃はもっともっと寒いんだいっっ! と自分にハッパをかけて寒さに耐えました。 そしてその後、いつ列が出来始めてもすぐに並べるように、頭数分 全員集合での泊まり込みに入りました。 キョードー前も東京ドームも、足りない分はアルバイトを雇いました。 その時のみんなの出で立ちたるや、マフラーに手袋・ホッカイロに分厚い靴下と、まるでスキーに行くみたいでした。おまけに、1日前の日(※92年10月8日(木))などは100%雨!という予報だったので、その格好の上にカッパを着てしまったりしたので、すっかり交通整理のみどりのおばさんになっちゃいました。 整理券配布日が初告知されたスポーツ報知(92年10月8日(木)付) ↑ ※クリックで拡大します 上段: 朝日新聞(10月9日(金)付) 下段: 朝日新聞(10月10日(土)付) 案の定、雨は夕方から降り出し、だんだん強くなっていきました。 しかし、ロープを張る人が現われ、列らしきものが出来始めた時は、「サァ!! いよいよ来るものが来たゾ!」 という緊張感で、雨の冷たさなど殆んど憶えていません。 夜が更けるにつれて、雨が嵐のようになってきたからか何なのか よく判りませんが、整理券を取るための整理番号を控える、いわゆる "ノート" が出たのです。 そのノートに自分の名前と番号をそれぞれ書き、ひとまず雨の中の行列から解放された人たちは、あちらこちらの軒下へと散って行きました。 かろうじて東京ドームのハンバーガー店がまだ開いていたので、遅い夕飯というか腹ごしらえをしました。 明け方の4時30分に元の場所へ集合と言われていたので、これから徹夜です。でも一応順番も取れたという安心からか、私たちはやっと この奇妙な一夜を楽しもうという気になったのでした。 酒盛りとまでは行きませんが、コンビニで温かい飲み物や食べ物を買って来て、ついでに店の前にあったダンボールをたくさん(勝手に)もらって来て私たちの雨やどりをしている場所に敷き詰め、ゴロ寝・ザコ寝をしながらマイケル話をつまみに、雨音をBGMに話しまくり・笑いまくりました。 ふと周りを見渡すと、昼間は見かけなかったホームレスのおっちゃん達がたくさんいて、まるっきり私たちと同じ格好でダンボールを敷いて寝ているのです。というより、元々ここの住人であるホームレスのおっちゃん達の陣地に、私たちが入れてもらったっていう感じです。 こういう時間というのは あっという間に過ぎるもので、瞬く間に4時30分が来ました。 いざ出陣!! とばかりに荷物をまとめ、両脇に抱えて一歩外へ出たらば、何と! 嵐どころか台風になっているではあーりませんかっっ! 大きな木はゴォンゴォンとしなっているし、足元を見ると3cmぐらい水が溜まっているので、あーあーと喚く間に全身がずぶ濡れになってしまいました。 でも助かったことには、列は東京ドームの屋根の下に作られました。 ドームの係の人か プロの人かはよく判りませんでしたが、 「(ダフ屋に)割り込まれないように気をつけて下さぁ~~い。そうなった時の責任は取れませーん!!」 と、ハンドマイクで叫びながら列の前を通り過ぎる様は、明け方とはいえまだ真っ暗な中に、この夜、特別に煌々と照らし出された東京ドームの明るすぎる灯りの中で、緊張感と共にとても異様な場面に映りました。 私たちは、互いに身体をくっつけ合って身を固くしていました。 そして、このままの状態で窓口が開く朝の9時頃まで並ぶんだ、と当然のように思っていた矢先、5時頃、突如として整理券が配られ始めたのです。 たった30分並んだところで思わぬ展開となったせいか、本当は嬉しいはずなのに、それとは裏腹に 「エ"――ッ!! ウッソォ~~!! 何でェ?!」 などと口走り、疲れは一気に湧いて出て、思わず眩暈しそうになりました。 しかし、少しずつ列が進んでいき、窓口で、前半4回分の白い整理券と 後半の黄色い整理券を自分の手にした時、何とも言えない充実感と、これでマイケルが観られるという実感に包まれました。 あとは、この整理券でどんな席が来ようとも、不思議なほど何も欲が起きません。一緒に頑張った仲間達と一緒に観る、これだけでも大満足です。それほど頑張ったのですから。 それからの2,3日は、溶ろけたバターのように眠りこけました。 皆さんお疲れさまでした。 チケット・セゾンのフライヤー(表面&裏面)。10月22日(木)優先予約のメンバーズ特典があった 一般発売(10月24日(土)・25日(日))の新聞広告 追加席発売(11月7日(土))の新聞広告 *** END *** UPDATE - '07.01.21
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UPDATE - '07.01.21