【 NAACP Image Awards '93 】
( VOL.54 / Jun 1993 )
NAACP
"National Association for the Advancement of Colored People "(全米有色人種地位向上協会)

 '93年の幕開けは、賞ラッシュとともに始まった!
…と言っても過言ではないくらい、ここ数ヶ月間は授賞式続きのマイケル。
 AMA,グラミー賞などの様子は日本でも放映され、まだ記憶にも新しいところですね。

 そんな数々のアワードの中で、ぜひ誌上でご紹介したいのが、1月16日に行なわれた
【NAACP Image Awards】 ― 有色人種栄誉賞の授賞式の模様です。
 この賞は、その年で特に黒人の地位向上に努めたり イメージアップに貢献した人に与えられるもので、音楽界に限らず様々な分野で活躍する人々に贈られています。
 過去にもマイケルは、J5名義で3回('70,'71,'72)、ジャクソンズ名義で2回('80,'81)、マイケル個人名義で2回('84,'88)授賞しています。

 今回は 『Outstanding Music Video (Best Music Of The Year)』 を "Black or White" で,そして 『25th Silver Anniversary Entertainer Of The Year Award』 の2つを授賞しました。
 珍しくママを同伴し、それぞれの賞についてスピーチしてくれたマイケル。
 今回スピーチ部分についてはマイケルの言葉をそのまま伝えるため、英文と和訳の両方でご紹介します。



 1つめの授賞 ― 『Outstanding Music Video』 で、マイケルは次のようなコメントを述べました。
I really wasn't expecting to you win this - I love you all very very much.
Thank you to the NAACP and thank you to all you dear, sweet, loving people.
Thank you so much.
この賞が戴けるなんて、思ってもいませんでした。 …みんな愛してます。とっても。
ありがとうNAACP、ありがとう皆さん。 親愛なる素敵な皆さん。
どうもありがとう。

 大事そうに両手でしっかりトロフィーを抱え、嵐のような拍手の中 スピーチしたマイケル。 何度かうつむいて目頭を押さえたり、感極まった様子で胸を押さえたり…。
 何かの授賞式で、こんなにもマイケルが感激したり 込み上げる感情を観衆に見せたことはおそらく無かったのではと思います。
 この賞の意味,そしてマイケルにとってのこの賞の重みを強く感じる一場面でした。



 そして、2つめの授賞 ― 『25th Silver Anniversary Entertainer Of The Year Award』 では、プレゼンターのウェズリー・スナイプス("BAD" のSFにも出演)が、マイケルの経歴・記録・功績をひととおり紹介。
 ジャクソン5時代から現在までの映像が流れます。

 最後に、マイケルへの感謝のプレゼントとしてマイケル自身の歌 "Will You Be There" がステージで披露されます。 歌うのはゴスペル歌手のダリル・コーニーと ソウル歌手の第一人者パティ・ラベル。 2人のブラックミュージックの先駆者たちが、聖歌隊とともにマイケルの歌をマイケルの為に歌い上げます。
 そしてステージ脇から2人の子供が登場し、マイケルに次のようなメッセージを語りかけたのです。

  地球に触れると、人々が自由になろうと闘っているのを感じます。
  空を見ると、わたしに手の届かないものなど無いことが解ります。
  風の音に耳を傾けると、わたしの運命の秘密を教えてくれます。
  音楽を聴くと、マイケル・ジャクソンがわたしを自由にしてくれます。
  おめでとうございます、ミスター・ジャクソン。
  あなたはエンターテイナー・オブ・ジ・イヤーです。
  世界中の子供たちを代表して、 「We love you!」
 そして、子供たちにエスコートされて壇上に上ったマイケル。 ステージの端で深々と一礼して感謝と敬意の気持ちを表し、中央へ。
 観衆の嵐のような拍手の中、再びマイクの前に立ったマイケルは、先ほどよりずっと長く、次のようなコメントを述べてくれたのです   
First, I'd like to say thank to my mother, who is here tonight. She's the one in blue.
Thank you for giving me life.
I really mean that.
I love you - I love you too.
まず、母にありがとうと言いたいです。 今夜ここに来ています。 青い服の人がそう。
僕に人生を与えてくれてありがとう。
心からそう思っているよ。
愛してます。 (観客に応えて)僕も愛してるよ。
There are two things which the NAACP stands for, which are, the most important things in my life, freedom and equality.
In every person there is a secret song in their heart.
It says, "I'm free".
It sings, "I am one".
This is the natural feeling of every other child.
To be free as the wind, to be one with every other child.
All the trouble in the world is caused by for getting this feeling.
And when I perform my connection is with people, it is just to remind me of that, to be free and to be one.
In this spirit the NAACP has done its cherished work.
Thank you for having the faith to see that I share your work, for I deeply feel that I do.
I accept this award on behalf of the world's healing, when all our brothers and sisters will be as free and equal as we are today.
I love you so much and I'm very honored and thank you so much for this award.
Thank you so much.
NAACPの2つの主張は、僕にとっても非常に大切なものです。 自由と平等。
すべての人の心の中に、秘密の歌があります。
「私は自由だ」 と語る。
「私はひとつだ」 と歌う。 (※人々,子供たちと動物たち,自然と… 全てのものとひとつという意味)
これは、すべての子供たちにとって ごく自然な感覚です。
風のように自由で、すべての子供たちとひとつになる。
世界のありとあらゆる争いごとは、この感覚を忘れてしまうことから来ています。
僕がパフォーマンスする時、常に心掛けているのは、人々と共にということです。 そうすると思い出します。 自由になることと、ひとつになることを。
この精神のもとに、NAACPは大切な仕事をしてきました。
あなた方の仕事に参加出来たことに深く感謝しています。
僕たちすべての兄弟たち・姉妹たちが、今日の僕たちのように自由になり平等になる時、世界は回復します。 その代理として、この賞を受けたいと思います。
この賞は僕の誇りです。
どうもありがとう。

 静まり返っていた場内は、再び割れんばかりの拍手!拍手!拍手!!
 この後、マイケルはトロフィーを受け取り、再び演奏が始まった "Will You Be There" をワンフレーズ歌い、子供たちと共にステージの袖へと消えていったのです。
 マイケルが去った後も演奏は続き、場内は拍手が鳴り止みませんでした   

・・・ END ・・・

UPDATE - '08.04.18