【 MJとの対面 in プラハ '96 (1) - オランダFanの場合
≡ マイケルへの授賞 ≡

( VOL.93 / Feb 1997 )
クラブ同士の交流を持っている海外のファンクラブの中のひとつ、
オランダの 『The Legend Continues』 の会報より和訳をお届けします。
会長であるウィリー・ギッツマンさん(女性)のマイケル会見体験記です。

■9月1日(日)■
 マイケル到着の2日前、私たちはプラハに着きました。 とても平和そうな、静かな街でした。
 私たちはすでに興奮していました。 2日後にはマイケルを見ることが出来るし、マイケルに逢って 『Legendary King of Pop Award』 を渡すことが出来るかもしれないのです。 私たちはソニーから、私たちと一緒に空港へマイケルを迎えに行くファン達を乗せる、ソニーがファンの為に用意してくれたバスに乗ることが出来る人を選ぶ役目を仰せつかっていたのです。(全員はバスに入りきれないので)

 2日間は大したことも起きず、ファン達は次々とプラハに集結してきました。



■9月3日(火)■
 今日、King of Pop がプラハの空港に到着する日です。
 ヘレナと私はマイケルのホテルで、バスに乗れるファン達にアームバンドを配りました。
 残念ながらソニーのバスには音楽は流れていませんでしたが、私たちは自分たちでマイケルの歌を歌いながら行きました。

 ソニーは、空港ではマイケルの曲を大きな音量で流すように準備しておいたようです。
 マイケルは数日間滞在したパリを発って3時頃にプラハに着くと言われていましたが、実際に到着したのはその1時間後でした。
 尾翼に 『KINGDOM ENTERTAINMENT』 のロゴマークが付いたマイケルの専用自家用飛行機は、私たちの目の前にいよいよ着陸しました。 しかし、マイケルはすぐには出てきませんでした。 1時間以上、ファンも飛行機も周りもそのままの状態でした。
 その時です。
 1人の男性が、飛行機に向かって すごい勢いで駆けて行きました。 彼は赤いジャケットをしっかりと胸に抱えていました。 マイケルのジャケットです。
 それがこんなにも皆を待たせた理由だったのです。 マイケルは飛行機の中でその赤いジャケットに着替えました。

 まず、3人の子供が飛行機から出てきました。 ファンの歓声は凄まじいものでした。
 マイケルは飛行機から出るとニッコリしました。 金のモールで飾られた赤いジャケットに黒ズボン・サングラスで、白い大きな傘を自分で差していました。 彼は、群衆に向かって歩くと手を振りました。
 それからいくつかのメッセージの書かれた紙を指差し、欲しいプレゼントを指差しました。 ボディガードがそれを取りに行きました。
 マイケルの乗る車は私の右側に停めてあったので、マイケルはこちらに歩いてきました。 彼は、私の目の前でちょうど止まり、ニッコリと指を差してくれました。
 私は何をしたらいいの? 写真を撮るか、持ってきた誕生日プレゼントを渡すか…。
 それで、一方の手で写真を撮り、もう一方の手でプレゼントを振りかざしました。 それは成功しました。 マイケルのアシスタントが私のプレゼントを見つけ、受け取ってくれたのです。
 それからマイケルはもっと右の方へ歩いて行きましたが、なんと驚いたことに また戻ってきました。
 戻ってきたマイケルは今度はずっと左まで歩いて行って、プレゼントや旗を受け取り、握手をし、サインをしました。 それからまたゆっくりと右へ歩いて行きました。
 ファンにこんなに時間を取ってくれるなんて!
 以前は想像も出来ないぐらい恐れ多く、勿体なく、光栄で、雲の上のような事でしたが、ここプラハから始まった今回のツアーでは、このようなマイケルからファンへの嬉しい行動がどこの国でもあったのでした。

 それから彼は車に乗り込みましたが、なんと!
 車に乗るとすぐ彼は身体を曲げ、手には私たちのファンクラブの会報を持ってくれていたのです。 マイケルはサングラスを外しました。
 なぜ私たちの会報が車の中にあったのか判りません。 でも多分、私が彼の運転手にあげた1冊だったようです。 私はその運転手が載っている号を渡したのですが、彼はそれをマイケルに渡してくれたようです。
 マイケルが空港からホテルに向かうと、私たちもすぐバスに乗り込みました。 バスの中では皆、マイケルを間近で見ることが出来たことにボーッとしていました。 ファンだけではなく、空港にいた人達もみな歓迎していました。

 インターコンチネンタル・ホテルの前にも、沢山の人々が待っていました。
 私たちが着くと、マイケルはホテルの窓から顔を出していました。
 ファンが沢山集まり、ソニーがマイケルの曲を流し、まるで大パーティー。 皆が歌い、手を叩き、踊っていました。
 私たちのグループは、今度マイケルが顔を出したら皆で手を繋いで私たちの荷物の周りでダンスをすることに決め、それを実行しました。 マイケルは、私たちに気づくと指で輪を作って真似しようとしてくれたので、私たちはさらに沸き上がりました。

 私は、マイケルが部屋の中でジャケットを脱いでいるところを気づきました。
 ただの白いTシャツだけを着て、また窓のところに来ました。 マイケルはTシャツを引っ張ろうとしていましたが、何かを思いついたように後ろへ下がり、姿が見えなくなりました。
 次の瞬間、私たちに見えたのは、空から舞い落ちてくるTシャツでした!
 皆そのTシャツをもぎ取ろうとして争い、ビリビリに裂かれてしまいました。 私の方角へ落ちて来なくて ちょっとホッとしました。



■9月4日(水)■
 次の日、私はホテルでボブ・ジョーンズ氏に逢って マイケルに渡すAward(賞)を渡すはずでした。
 しかし不幸にも、地下鉄に乗る時にスリに遭い、財布とともに渡すはずの賞もスラれてしまいました。 私の手元には賞のガラスのかけらが残っただけでした。(あとの2品は大丈夫だった)
 200ギルダーも盗まれ、計画していたほどマイケルの追っかけも出来なくなりました。 ブカレストからモスクワへ行く飛行機代が出せなくなり、モスクワとワルシャワは諦めなくてはならなくなりました。
 でも私は警察へは行きたくありませんでした。 もし警察へ行けば、何時間もいろいろ訊かれるでしょう。 ジョーンズ氏は今日にもマイケルに逢わせてくれるかもしれないというのに!

 私たちはロビーで待つよう言われました。 何時間も待ちましたが、誰も来ません。
 2時頃、マイケルは買い物と子供病院出掛けていきました。

 6時半頃にマイケルは帰ってきました。 私たちはまだ待っていました。 2時間が経過し、マイケルが窓から顔を出し始めたので、それを見に行きました。
 私はとても疲れていたので、その後すぐホテルに戻って眠ることにしました。

 私が眠っていた頃、ファンの人たちはマイケルとライターで合図を送り合っていたそうです。 ファンが動かすのと同じようにマイケルもライターを動かし、時々腕を引っ込めましたが20分ほどそれは続いたそうです。



■9月5日(木)■
 この日、私たちはホテルのロビーに座っていました。
 1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、3時間が過ぎましたが何も起こりません。
 また昨日のようなことになるのではないかと心配し始めた時、ジョーンズ氏がウェインとともに私たちの所にやって来ました。
 私とミラとアンジェリークとアルマが、マイケルの所に招かれました。

 上に着くと、私たちはまず金属探知機の中を通りました。
 その後、私の仲間はマイケルに自己紹介をしていました。
 「ハイ、私はアルマよ」
 「オマー?」 と、マイケルが訊き返します。 「いいえ、アルマよ」。
 「ハイ、アンジェリークよ」
 「いい服だね」
 次にミラが自己紹介している時に、私が部屋に入りました。
 「ハイ! ウィリー、やっと来たね」 とマイケルが言います。
 「ウィリー、最後に逢ったのはいつだっけ? ニューヨーク?」
 「いいえマイケル、BRITアワードよ」
 マイケルはちょっと考えて言いました。 「ああそうだ、BRITアワードだね」。
 私はマイケルの所まで歩いて行って握手をしました。 「また逢えて嬉しいわ」。
 その間中、子供たちがレーザー銃を持って走り回っていました。 1人の子がマイケルの頭に銃を突きつけます。
 「見て、僕を撃とうとしてるよ!」。

 それからマイケルは、私が手に持っている物に目を留めて言いました。
 「きれいだね。 誰が作ったの?」
 「私よ」
と言い、少しスピーチするべきだと思い、言いました。
 「マイケル、あなたは King of Pop なんだから、笏(しゃく: 王様が持っている棒みたいな物)を持たなくっちゃ。 それでこれを作ったの。 私たちは、この賞のお金を募ったの」
 マイケルは、どういうこと? という顔をして私を見ます。
 「メンバーは、お金を支払った代わりにこのプロジェクトに参加したという証明書をもらうのよ。 それでそのお金は、 "ロナルド・マクドナルド子供基金" に寄付したの」
 「ああ、僕たちもそこへ寄付しているよ」
 「次は "チャイルド・ライト" に寄付の予定なの。 知ってるでしょ?」
 「もちろん、もちろん知ってるよ。 それでメッセージは?」
 「メッセージはあなたの曲から戴いたの」
 そして私は、マイケルに賞を渡しました。
 マイケルはそれを部屋にいる皆に見せ、「きれいだ」 と繰り返します。
 「ここに僕のホログラムが入ってる。 見た?」
と、マイケルは周りの人に訊きます。 そして彼は、賞を椅子の上に置きました。

 「付け加えて、こちらはその賞に参加した人たちのリストよ」
 マイケルは中を見ながら言いました。 「こんなに沢山の国から…」
 マイケルは、リストを見ながらいくつかの国名を読み上げました。

 そして私たちは、ウェインに記念写真を撮ってもらいました。
 それからアルマは、マイケルに訊きたかったことを尋ねました。
 「マイケル、ファンが皆知りたがっている事なんだけど、 "Do the Bartman" をあなた歌ってる?」
 「ああそうだよ。 バック・ボーカルをやったし、曲も書いたんだ。 僕の会社が許さなかったんで偽名にしたんだよ。 でも僕はバートの為にそうしたかったんだ」

 そんな会話の時、小さな女の子が見ているのに気づき、良い1日だったか尋ねました。
 しかしマイケルは自分が訊かれたと思い込み、
 「うん。昨日は本屋に行ったんだ。 今日はもしかしたらアンティーク・ショップに行けるかなぁ」
 「オーノー!」
とウェインが呻きました。

 私たちは片付いた部屋を見回し、言いました。
 「マイケル、ここにはもっとオモチャがあるかと思ったのに」
 「ああ、全部戻しちゃったんだ」
 戻したってどういうこと? 誰に? なぜ?
 その時ウェインが 「もう時間だ」 と言い、私たちはもう一度握手をし、マイケルは
 「素晴らしいプレゼントだよ。 ありがとう」
と言ってくれました。

 外では友達が待っていました。
 スヴェンという子はチョコレートケーキを10個持ってきて、マイケルとの面会と彼の誕生日を祝いました。
 そして友人たちは、私をワナに掛けたのです。
 彼らは私に封筒を渡し、中に書いてあることを読んでほしいと言いました。 封筒を開けると、中から沢山のお金とメッセージカードが出てきました。 彼らは私に 「マイケルの追っかけを続けてほしい」 と告げました。
 お金と判っていたら受け取らなかったのですが、その前に私は約束させられていたので返すことが出来ず、ありがたく受け取ることにしました。

 その日のことは、マイケルとの面会とともにこの友情に胸がいっぱいで忘れることが出来ません。

・・・ END ・・・

UPDATE - '08.06.04