【 Q Magazine インタビュー 】
( 1982.12 )

( VOL.31 / Apr 1991 )

―― … インタビュアー   MJ … マイケル


―― アルバム『Thriller』が完成して幸せな気分ですか?
MJ うん、とっても嬉しいよ。
幸せ‥‥ いや、僕は決して満足しない人種なんだ。
―― アルバムのどの曲がお気に入りですか?
MJ 好きなのは、『Thriller』に…『Billie Jean』・『Beat It』・『Wanna Be Startin' Somethin'』・『The Lady in My Life』‥‥
こういう質問には答えることは出来ないよ。だって僕は絶対満足しないから。完璧主義者なんだ。
―― アルバムにはちょっと毛色の違う人々が参加していますね。
ヴィンセント・プライスもその1人ですが、どうして彼と仕事をすることになったのですか?
MJ ヴィンセントを知ったのは僕が11歳の時。
いま現役のキング・オブ・ホラーは一体誰だろうって訊いたらどう答える? ベラ・ルゴシもピーター・ローレも故人となった今では、ヴィンセント・プライスだよ。
彼の声は『Thriller』にぴったりだ。
実は、ロッド・テンパートンもクインシーも彼がいいって思ってたんだ。彼は友達だし。
彼はすぐに来てくれた。何の問題も無かったよ。
―― エディ・ヴァン・ヘイレンとはどんな風に?
MJ 『Beat It』が出来上がって、僕たちはそれに良いギターソロが欲しかったんだ。
ある晩、クインシーが言った。「良い考えがある」って。このソロにはヴァン・ヘイレンがぴったりだって言うんだ。あるいはピート・タウンゼントが良いって。でもタウンゼントはその時“The Who”のツアー中だったから彼はダメ。
それで次の日・そう本当に次の日、エディ・ヴァン・ヘイレンがスタジオに来たんだ。
彼は、自分のパートがOKかどうか常に悩むタイプの人だった。彼は正しい答えを求めてた。彼も完璧主義者だよ。

インタビューから1年半後、ステージでも共演。(1984年7月14日 テキサス・スタジアム)

―― アルバムの選曲はどのようにしたのですか?
MJ 何がベストなのかを考えてやった。今のサウンド、今のマーケットには何がベストなのかを。
僕たちはそれぞれ、その事を考えて選んだ。僕としては…クインシーとしては…って具合に。
僕は、メロディとかではなく印象的で特別な感じの曲を選んだ。
―― アルバム名は『Thriller』ですが、何故このタイトルを選んだのですか?
あなたはどうやら映画がとてもお好きなようですが。
MJ 映画は大大大大好きさ。映画は全部好き。ただし恐怖映画はダメ。
―― どうして?
MJ 観たあとに怖くて眠れなくなっちゃうもの。
―― もしこのアルバムが、あなたの思っているほどの成功を収めなかったら悩みますか?
MJ うーん、そうだね。僕はいつだって上を向いていたいから。逆戻りはしたくないよ。
でも今はあまり景気が良くないからね。
―― 人々はそんなに沢山のレコードを買わないと思うのですか?
MJ うん。
それを言い訳にするつもりは無いけど。
―― 70年代の終わりに、あなたはディスコ・ブームの代表者になりましたね。
そのイメージを捨てたいと思っていますか?
MJ 自分がディスコを象徴しているだなんて思ってないよ。
僕たちは、バラードもいろんなタイプの曲もやったよ。『One Day In Your Life』はディスコじゃない。
『I Want You Back』も『She's Out Of My Life』も『Rock With You』も…。
僕は、いいダンス・ミュージックが好きなんだ。皆は自分のつけたいレッテルをつければいい。ダンス・ミュージックは昔からあったし、皆それが好きなんだ。
―― あなたは時々アダム・アントと電話で話すそうですね。
一体どんな話をしているんですか? 共通の話題があるんですか?



Adam Ant
MJ いろんな音楽の話をしてる。アントの音楽のレコーディングのやり方とか。
彼は僕の曲が好きだし、僕は彼の曲が好き。彼が僕のダンスについて話せば、僕は彼のファッションについて話すよ。
―― ヒューマン・リーグや ソフトセル等のバンドはお好きですか?
MJ うん、好きだよ。
でもイギリスのグループで一番好きなのは ビートルズだ。彼らの曲は良い曲ばかりだもの。
今は、とても沢山のバンドが今まで無かったような良いサウンド・それぞれのサウンドを創り出しているね。
―― 今はどなたと住んでいるのですか?
MJ 母と2人の姉妹、父とだよ。まだ家族と一緒に暮らしてる。
もし独立したら淋しくて死んじゃうよ。それに、僕じゃファンやいろんな物事をコントロール出来ないし。家から離れるつもりは無いよ。ここには保護と安全があるからね。

母キャサリン・姉ラトーヤと                妹ジャネット・姉ラトーヤと

―― 外に出るとあなただと判ってしまいますか? 外出はよくしますか?
MJ 外出はしないよ。
―― みんなに囲まれて騒がれたことがあるのですか?
MJ うん、あるよ。
―― 怖かったですか?
MJ ううん。面白かったよ。きっとあなただって面白がるよ。走り回ったり隠れたりで。
でも、一度でも捉まってしまえば面白くなくなるね。
だって想像してみてよ。みんながキスをしようと迫まってくるし、引っぱるし、服は千切られ、髪の毛も千切られる。
以前にも行ったことのある国で僕が歩いていると、ファンの娘が来て―― あぁ神様!
彼女はバッグから財布を取り出し、中を見せたんだ。
そこには髪の毛が入っていて、「これは2年前に私が取ったあなたの髪の毛よ」って。
―― 普通の生活をしてるって言えますか?
MJ とても言えないよ。
―― 普通の生活に憧れますか?
MJ いいえ。
これでいいんだよ。今のままで僕は幸せ。

UPDATE - '07.04.21