【 中東のこどもたちと共に 】
― '96年9月 カサブランカにて ―
( VOL.102 / Aug 1998 )

 7歳~12歳のこどもたちが質問をし マイケルが答えていく、という形式のインタビューです。
 ここにお届けするのは、その録画テープから音訳したものです。

 このインタビューは、'96年に中東のカサブランカとチュニジアで行なわれました。
 ほとんどの質問がアラビア語だったのでマイケルは困ってしまい、結局は英語文に訳したものを見ながらのインタビューとなりました。 また、マイケルの答えは英語なので、スクリーンにアラビア語の字幕が流されました。
 ここでは、マイケルの発言を一語一語お届けします。

 マイケルはこどもたちの質問に、とても熱心に答えています。 時には立ち上がったりして!
 また、何人かのこどもは、英語で質問していました。

 インタビューの間、マイケルは白いソファーに座っていました。
 服装は、黒地に赤のスタジアムジャンパー,黒い帽子(いつものマイケルハット)。 ほとんどノーメイクで、サングラスもマスクも着けていませんでした。
 また、とてもリラックスしていて、話す時には身振り手振りのジェスチャーも交え、それに表情がとても豊かでした。
―― … こどもたちの質問     MJ … マイケル


―― 音楽への影響について
MJ 僕はずっと… そうだね… 世界中の文化的な音楽に影響を受けてきたんだ。 そういう音楽を、ずっと学んできたんだよ。 ほら、アフリカやインド,それに中国や日本のね。 どこの国の音楽も、みんな素晴らしいよ。
そうだなぁ… いろんな国のいろんな文化にも、僕は影響されていると思うよ。

―― 人種差別について
MJ まったく残酷だよ。 醜いよ。 僕は大嫌いだ。
だって君たちはみんな、僕の兄弟なんだもの。 【こどもたちをグルッと指さしながら】 みんなみんな、僕の兄弟なんだよ。 黒人であれ白人であれアラブ人であれ… みんな同じ。
僕は人類を平等に愛しているんだよ。


 マイケルは今、こどもたちの前に立っている。 そして上着と帽子を脱いだ。
 今は、黒いシャツにジーンズ姿である。 髪は "They Don't Care About Us" の時のスタイルに似ている。

―― 【11歳か12歳位の女の子が質問したが、それはアラビア語のようだった】
MJ えっ? 今なんて言ったの? 僕が何だって?
―― アラビア人のことを、あまり好きではないそうですね。
MJ そんなこと全然ないよ。 僕はアラブの人を愛しているし、世界中の人たち皆を愛しているよ。
僕はアラブの人を嫌いだなんて言ったことなんか無いんだよ。 ありもしない事を、さも本当の事のように言っている人たちが実際にいるっていう事だよ。 解ったでしょ?

―― 【今度は7歳位の男の子が名を名乗り、エジプトから来たことを伝えた】
エジプトでもコンサートをやってくれませんか?
MJ 是非、エジプトでコンサートをしたいな。 次のツアーでは、君の町全部でコンサートをしたいと思うよ。
空港には一度だけ行ったことがあるんだけど、そこで見かけたエジプトの人たちは、とっても素敵だったよ。
【腕を伸ばし、こどもたちを指さしながらニッコリと笑う】
君たちみんな素晴らしいよ。 ここに来れて、本当に嬉しいよ。

 マイケルは再びソファーに腰掛けると、帽子をかぶり上着を着た。

―― 家族への希望
MJ 僕は、家族をとても大切にしています。
それに僕は10人兄弟だったし。 【※ 生後まもなく亡くなった、四兄マーロンの双子の兄弟もカウント】
ほら、解るでしょ? 今のみんなみたいに、円く集まったりして。 とっても仲良しだったんだよ。 家族が無かったら、僕は生きていけないよ。
やっぱり多い方がいいな… 【口を左右にギュッと引き上げてニコッと笑う】
大家族がいいな。 12人ぐらい子供が欲しいな… 【またニッコリ】
僕の叔母には13人の子供がいるし、叔父にも12人の子供がいるよ。 それに僕の父にも10人の子供がいるし…。
だからね、僕もたくさん子供が欲しいんだよ。 心からね。 ずっとそう願っているんだよ。


―― オーディエンス(観客)について
MJ オーディエンスに強く感じるものがあるんだ。
それは、愛なんだよ。 きっと君たちも感じるはず。
ほら、彼らは左右に揺れたり、大きな声で叫んだり、時には気絶してしまったり…。
そんな彼らのリアクションを、僕はいつも、本当に素晴らしいと思っているんだよ。


―― 音楽制作について
MJ 【コラボレート(共同制作)について多く語る】
これは、例えばの話。
歌を作ろうと考えるんだけど、少しアイデアが浮かんだだけなんだ。 まだ何も決まってない。 そんな時に、もし誰かとコラボレートすることになったら…。 多分ライターと一緒にね。
僕だったら、 「ここをこうして、あれをこうして、そこをこうしたい。」 って、はっきり言うんだ。 君も一緒に仕事をする相手に考えをしっかり伝えなくちゃいけないよ。
でも、今のところコラボレートは出来ないな。 なぜって、新しい歌をもっともっと作りたいし、他にもやりたい事がいっぱいあるからね。 いろんな仕事が持ちかけられてるし、本当に忙しいんだよ。
君は、こういうのをどう思うかなぁ。
つまりね、僕はいろんな経験を積んできたし、一生懸命やってきたんだ。 ふだん歌を作る時も、また共同で作る時も、僕は全力を尽くしているんだよ。

意思をしっかり伝え意見交換を重ねる事は、互いの発見となりベストな仕事を生む

―― 未解決の問題について
MJ “エデンの東” は、きっとアフリカにあったんだよ。 僕はそう信じている。
でもアフリカの人たち自身は、そんなこと意識してないんだろうな。
【マイケルは同年7月、ネルソン・マンデラ氏の誕生日のために訪問した南アフリカの事に触れた】
僕は、本当にアフリカが大好きだよ。 とっても、とーっても大好きなんだ。
音楽… それにあのリズム…。 【マイケルはとても畏敬している様子】
小っちゃくて可愛いこどもたちを見てみると、それはもう完璧なリズム感なんだよ。 小さな体をこんな風に動かすんだよ。 【マイケルは腕や肩を動かして、そのダンスを真似てみせる】
まるで奇跡だったよ。 本当に GREAT
彼らは、何でも与えてくれたよ。 洋服や食べ物もね。
それからホテル。
このホテルのこと知ってる? とても大きなホテルだよね。 ここはボーリング場だったんだよ。 で、ここが大きなゲームルーム。 それにここはプールだったそうだよ。
僕の部屋の窓から外を覗くと、見渡す限りに人がいるんだよ。 彼らは外で寝て僕を待っているんだ。 外で寝るんだよ!!!  1日中そこにいるんだ。 夜になっても外で僕を待ち続けているんだよ。 それってちょっと…あんまり楽しい事じゃなさそうだよね。
でも、僕はアフリカの人たちを愛しているし、ここに家を買いたいと思っているんだよ。


―― 『Heal the World基金』 について
MJ 『Heal the World』 は、100万人の人を助けたよ。
えーと、それとニュージャージーにある施設について話しておきましょう。 その施設は、初めてのマイケル・ジャクソン病院となったんだけど、世界中にそういった病院を造りたいと思っているんだ。 これは僕たちの目標であり、任務なんだよ。
僕は、 『孤児院』 という呼び方はしたくない。 みんなが家族のように暮らせる住宅が、もっとたくさん必要なんだよ。 そうでしょ?
僕はこの活動を愛しているし、僕の心の中は、この事でいっぱいなんだ。
 今、最もマイケルが情熱を傾けている課題だ。
 それは、彼のボディ・ランゲージからも見て取れるだろう。

'93年9月16日 モスクワにて

・・・END・・・

UPDATE - '08.10.10