【 '86ねん インタビュー 】
( G.H.ガルシア氏による電話インタビュー )

( VOL.72 / Feb 1995 )

 随分と昔のインタビューなのですが、当時インタビューはあまり受けないともっぱらのウワサだったマイケルも、時にはこんなインタビューを受けていました。
 G.H.ガルシアという人が電話でマイケルと話したものです。
 ズバズバとマイケルに質問していて、もし自分がこんなにズケズケ言われたらちょっとイヤかも ?! って感じですが、シャイなマイケルも頑張って応えています。

 マイケル28歳!
 日本にソロで初来日する前の年のインタビュー!

 今のマイケルを知っている上で読むと、夢や計画を果たしている事もあるし、そうではない事もあります。
 今、同じ質問をしたら、どんな答えが返って来るのかな?
 そんなことを想像しながら読んでみてね。



―― … G.H.ガルシア氏   MJ … マイケル

■自分のイメージとスタンス■
―― どうしてアゴを変えたの?
MJ 以前のアゴの形が好きじゃなかったからさ。
―― どうして?
MJ つまり… 平凡だったからさ。 それに、少し尖ってもいたしね。
―― アゴに割れ目を入れたら、少し大人びて見えるようになったと思うかい?
MJ うん。ずいぶんと成熟して見えるようになったと思うよ。

'86年前半のスタイル
―― 鼻を整形したことについては、色々と批判の声が多かったみたいだね。
あの手術を受けるに当たっては、かなり躊躇したんじゃないの?
MJ いいや。全然。あれは正しい決断だったよ。
僕は、みんなが新しいスタイルの方を好きになってくれると思っているよ。
―― 他に外観で変えようと思っているところは無いの?
MJ いいや。今のところはね。
―― ヘアスタイルを変えるつもりだと聞いているけど?
MJ いろんなヘアスタイルを試しているところなんだ。
でも髪の毛っていうのは、そんなにいろいろ変えられるものじゃないからね。

 '86年後半のスタイル (※SF撮影時・レコーディング時)

―― 最近、君の両親が離婚するというウワサがあるんだけど、本当なの?
MJ 僕はそんなウワサ聞いたことないけど。
―― 君は、自分や家族の記事をよく読むのかい?
MJ 読まないようにしているんだ。読むとナーバスになったり 腹が立ったりするからね。
―― 君のことをゲイだと言うライターに対して 「訴える」 と脅かしていたね。
MJ そのとおり。
―― いち個人を同性愛者か異性愛者か 他人が証明する事なんて、殆んど不可能だよね。
あの記者会見[※1]のせいで、たくさんのゲイのファンが離れていったと思わないかい?
MJ そうでないことを願っているよ。
僕は誰も傷つけたくないんだ。
※1 これより2年前、マイケルは自分への様々なウワサを打ち消すべく記者会見を開いた。
マイケルにより書かれた声明文を マネージャーのフランク・ディレオ氏が 「1回限り」 読み上げる、という形がとられ、マイケル本人の出席は無かった。
= マイケルの声明文 =
('84年9月5日)

 以前から僕に関して広く語られている数々の誤報に対して、果たして公式に反論すべきか否か 大変苦慮して参りましたが、僕を慕って下さる人々をも傷つける非難や完全な捏造に対峙すべく、この声明を発表することに致しました。

 僕は、これまでの功績が称賛されている事に大いなる幸せを感じております。
 称賛を浴び 注目を浴びた者は同時に、世界中で賛美して下さる方々に対して責任を負わなければなりません。子供たちの手本となるべく努めなければならないのですから。
 世間の多くの人々が、現在巻き起こっている僕への根も葉もない中傷の数々を真実だと信じかねない状況は、忌むべき事態です。それに終止符を打ち、決着を付けたく存じます。

  僕は、高い声を保つために女性ホルモン注射を打ったことはありません。
  僕は、いかなる頬骨の手術も受けたことはありません。
  僕は、目に美容整形を施したことはありません。
  僕は、いつの日か結婚し 家庭を築くつもりです。(※ゲイ疑惑に対して)

 これらに反するいかなる記事も、全くの誤報です。
 僕はすでに法的手段を打つ覚悟にあり、法の枠内で最大の処罰が下されるよう速やかに訴訟手続きをとるべく弁護士に指示済みです。

 先に申し上げたように、僕は子供が大好きです。子供というものは影響を受けやすく、ゆえにそのような話を信じてしまいがちです。それらひどい中傷により、傷ついた子供が既にいることでしょう。
 子供たちからの称賛があり続ける以上、僕は彼らから尊敬される人間でありたいと思っております。


――

君は、自分のイメージを型にはめたものにしようとしているの?
MJ 僕はただ、出来る限りベスト・ルッキングに近づこうとしているだけだよ。
―― ルックスは君にとって、どれくらい重要なことなんだい?
MJ ‥‥‥。
―― じゃあ、言い方を変えよう。
君はどれくらい虚栄心が強いんだい?
MJ 隣にいる男と同じくらいさ。
―― いや、もっとだろう。あれだけ整形手術をしたんだからね。
痛くなかったかい?
MJ いいや。だって麻酔があるもの。

※'84年1月、CM撮影の火傷事故で入院した時のもの。 担当医師・看護士たちと

―― 君が参加した "We Are The World" は、世界的な成功を収めたね。
それなのに、なぜ自分の国の飢えと 家のない人々のために、 "ハンズ・アクロス・アメリカ" には参加しなかったの?
MJ 僕は、そういったことを自分のプロジェクトにしたくなかっただけなんだ。
―― つまり、君がそういったことに参加すると、どうしても君が注目を浴びてしまうということなんだね。
MJ よく判らないけど、そんな気がするんだ。


■JANET■
―― 妹のジャネットの素晴らしい成功 (※ソロで全米No.1を獲得したこと) について、どう思う?
MJ すごく嬉しいよ。
成功するだけの価値のある人間だし、いつもビッグスターになりたがっていた。彼女は子供のころ、女優のメイ・ウエストみたいになりたがっていたよ。
そして僕はいつも、夢を掴むよう励ましてきたんだ。

―― ジャネットは未だにバージンなんじゃないかという邪推があるんだけど。
MJ その事についてはコメント出来ない。
―― VICTORY Tourのあと、君が兄弟たちとはもうツアーはしないと聞いているけど、それは本当?
MJ 僕が今後もうツアーをしないというのは、これから先の予定のためなんだ。
でも僕たち兄弟は、相変わらず仲の良い友達さ。


■映画・スピルバーグ■
―― "キャプテンEO" は、なんであんなにお金がかかったの?
MJ スペシャルの効果とマジックが、信じられないほどすごいんだ。
だから、あんなにお金がかかったんだよ。
―― 2時間映画にするのは、コストの面でも無理なんじゃないかな。
MJ ディズニーでも きっと財政的に詰まってくると思うよ。(クスクス笑う)
―― "Thriller"(14分間)のビデオは、"キャプテンEO"(17分間)と同じぐらいの長さだよね。
どうしてフィーチャーフィルム(長編映画)にしなかったの?
MJ ディズニーの人たちとは何度もミーティングしたんだ。
彼らとは同じヴィジョンを持っているから、一緒に仕事がしたかったんだ。その上、抱いているコンセプトも同じだった。
そして最高の監督とプロデューサーを頼んだんだよ。

―― スピルバーグは、まだ "ピーターパン" を撮る計画を持っているらしいよ。
でも、あれは君の方のプロジェクトだったはずだろう? 興味が無くなったのかい?
MJ その件については、何とも言えないな。
いつ彼が計画を実行に移すか知らないし、とにかく、よく判らないんだ。
ただ、僕はアウタースペース物の方に もっとずっと興味があったし、みんなと同じように "スターウォーズ" の3つのシリーズがすごく好きなんだ。
だから "キャプテンEO" の方をやることにしたのさ。
―― "キャプテンEO" の宣伝は、君の新しいアゴを見せるために、すべて撮り直されたんでしょう。
看板の書き直しやら エアブラシするために、アゴの割れ目が問題になるとは思わなかったのかなぁ。
MJ 広告のキャンペーンは、ずっと前にスタートしていたんだよ。

―― "キャプテンEO" に続いて、劇場用の映画を撮る予定はあるの?
MJ そうしたいね。
でも、それがアウタースペース物になるかどうかは判らないよ。
―― 映画を撮る時には、君は自分の信念でラブシーンやセクシーなシーンでさえも撮らないつもりなのかい?
MJ 映画に必ずしもそういうシーンが必要だとは思わないね。
"E.T." なんかはその良い例だよ。みんなで楽しめる。

―― 例外中の例外じゃないの。
最近では、ディズニーの映画でさえ猥褻なシーンがあったよ。
MJ それは彼らが、時代の流れに乗る必要があると思ったからじゃないかな。
―― スピルバーグとまた仕事をするつもりはあるのかい?
彼もまた、子供の目線で人生を見る人だね。
MJ スティーブンは、全くもって素晴らしいよ。
"カラー・パープル" は大人の映画だし、彼のまた違った側面もみせてくれた。
―― あの映画の中での黒人男性の描かれ方には、ずいぶん多くの黒人が腹を立てていたね。
君もそうだったかい?
MJ いいや。
中にはそういう人もいるさ。


■ガールフレンド■
―― ダイアナ・ロスとは、相変わらず親しいのかい?
彼女は再婚したらしいけど。
MJ ああ、仲は良いよ。
でも最近、お互いにとても忙しくてね。近いうちに電話ででも話が出来ると良いんだけど、と思っているところだよ。
―― 彼女はまた映画の仕事を始めたみたいだけど、また共演するのかい?
MJ 彼女は、今回はジャック・レモンと共演しているんだ。
でも、また一緒に演りたいと思っているよ。

 前年('85年)リリースされたダイアナの "Eaten Alive" が、最新の共演作品。(PVでの共演はなし)

―― この前の記者会見(※前述の声明)で、君は 「いつかは結婚するよ」 って言っていたよね。
誰か特別な人を見つけたかい?
MJ いいや。まだだよ。
見つけようとはしているんだけどね。
―― スケジュールがびっしり詰まっているにも関わらずかい?
MJ その気になれば素敵な人に巡り会えるよ。
―― いちばん最近のブルック・シールズとのロマンスはプラトニックだったそうだけど、あれ以降は誰かと一緒に外出したかい?
MJ 友達と… それからエリザベス・テイラー。

リズとのお出掛け '86 … [左] 1月 - AMA  [右] 4月 - ハリウッドパーク競馬場の開場式

―― 君の昔の恋人テイタム・オニールは、ジョン・マッケンローとの間に子供をもうけたそうだね。
今もまだ彼女と会ったり話したりするの?
MJ いいや。

[左] '79年 - テイタム・オニールと  [右] '84年 - ブルック・シールズと

■レーガン大統領■
―― ホワイトハウスへ行って、レーガン大統領と話をしたろう。[※2]
2人でどんな話をしたの?
MJ それは言えないよ。
―― トップ・シークレットという程のものでも無いんだろう?
MJ (クスクス笑う)
―― レーガン大統領について、どう思う?
MJ ナイスガイだね。

'84年5月14日 ホワイトハウスで 『青少年飲酒運転撲滅キャンペーン』 貢献のかどにて表彰。
"Beat It" をそのキャンペーン・テーマ曲としての使用に協力したという経緯
―― ふぅん。
君は、若者たちに絶大な人気があるよね。もし何かの選挙に立候補すれば、クリント・イーストウッドのように当選は間違いないだろうに。
選挙には興味あるかい?
MJ いいや、とんでもないよ。
―― 何故だい。
君の宗派が選挙に出ることを禁じているわけでもないだろう?
MJ とにかく、そういった事をするつもりはないよ。
―― 君の宗教での "ものの見方" は、ある意味では寛容じゃないと言われているけど、そのことについてどう思う?
MJ 答えたくないよ。

※2 マイケルはサングラスをかけたまま・シンボルマークの手袋もはめたままで、レーガン大統領と握手した。選挙のため利用されている自分を解っていたからだ。
潔癖なマイケルは、これまでのどんなゲストよりも堂々としていたという。

■DREAM■
―― 30歳までに成し遂げたいことは?
MJ 人々をエンターテインして、幸せにしたいと思っているよ。


―― 今まで自分について書かれた本をどう思う?
MJ 別に言うことは無いけど、ただファンの皆さんには、僕だけが真実を知っているんだっていう事を解っていてほしい。
―― 君は、ジャクリーン・オナシスを編集長として自伝を書いていると聞いているけど、そろそろ発売されるの?
MJ そのプロジェクトに取り掛かってはいるんだ。
でも、何を書き 何を書かないでおくかというのは、とても難しいことだね。
―― でも、たくさん削除してしまうと売れなくなるよ。
MJ 解ってるよ。本当に難しい。

2年後の '88年4月、その自伝本 「MOONWALK」 は無事発売される

―― 最後に、個人的に将来は何が欲しい?
MJ 家族とずっと幸せでいたい。
そしてみんなを楽しませて、人々に良い時間を過ごしてもらいたい。
人々にエンターテイメントの裏側にあるメッセージを見てほしいし、平和のメッセージを見てほしい。それは "キャプテンEO" の中にもあるし、歌の中にもある。
僕はそのメッセージを、僕がやる全てのことに織り込んでいくつもりさ。

・・・ END ・・・

UPDATE - '07.05.19