【 記者によるマイケル論とメディア批判 】
“マスメディア”というと、 「マイケルの敵!! 」 のような視線を投げつけがちですが、
中には    悪名高き英SUN紙にさえ    ごく真っ当な記者もいるようです。

ここでは、そんな彼らが “歪められたマイケル像”を是正すべく筆をふるった手記を
会誌掲載の中から2つピックアップして紹介します。
ファンによるマイケル擁護論より世間的理解を得やすい点で、価値ある記事です。


 THE SUN紙('92年8月)     Black Beat誌('96年1月)

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≡ 忘れろ! Wacko Jacko(※1)は。 ≡
彼は私が知っている、最も傷つきやすく 最も優雅で 最も賢い男の1人である
『THE SUN』紙 by. Peter Willis  '92年8月10日号より
( VOL.47 / Oct 1992 )

優しさからゆえに持っているマイケルのとても強い精神が、この中に語られています。
ガラス細工のような人・努力の人と 色んな受け止め方があるだろうし、ひと言で表わすのは難しいし、 第一マイケル本人でないと解らない事ではあるけれど…
みんなが思っているマイケルって どんな人?

※1: "Wacko Jacko" という呼び名は、ヨーロッパでの単なるマイケルの愛称というだけでなく、
   「人を寄せつけぬ近寄りがたい強靭な人物」という意味合いを含んでいて、“皮肉”にも・また
   そのままにも受け取られていた。

 
     【追記 - "Wacko"には crazy・mad・insaneの意味が含まれ、韻を踏んだ "Wacko Jacko"
           『変人マイケル』 の意。 主に英タブロイドで多用され、マイケルはこの呼び名を毛嫌いしていた 】


 私は、他のジャーナリストよりも先に,そして長くこのツアー(DANGEROUSツアー)で彼と長く過ごすことが出来た。 私はマイケルのショウを18回も観ることが出来たし、ヨーロッパ全部の2ヶ月のロードを一緒に過ごすことが出来、その日から、マイケルの中に最も心を惹きつけさせるものを私は見つけた。
 世間では、「マイケルは決して大人にならない」 と言い、隠遁者・狂人と決めつけている。 でも彼は、思慮のない人でも道化師でもないと私は悟らされた。

 マイケルは私たちに、ここ数年 自分を悩まし苦しめる全ての点について話してくれた。
 もし彼を狂人だというのならば、私などはどうなるのだろうか? マイケルの 『変わり者』 のイメージ等は、彼が慎重に構成したというのが真実なのだ。 彼の純真さ・子供っぽさのレッテルは彼の成功を促進するし、それは妨げにはならないと彼は知っているのだ。
 いったい世界中で33歳になるスターの何人が、毎日毎日ホテル前に何百ものティーンエイジャーの大群をもたらす事が出来るだろうか。
 マイケルの側近のボブ・ジョーンズは、毎朝マイケルのために全てのニュースの切り抜きを愉快に要約し伝えている。 ひどくバカげた非難を、マイケルは連想しながら大笑いする。

 マイケルは、確かにひょうきんな子供的センスを持ち合わせている。 しかし彼は、多くの人々が気づき理解するよりも、より賢明で成熟しているのだ。
 ちょうど先週、マイケルはホテルのバルコニーで、習慣である “束の間の顔出し”をした。 等身大に引き伸ばしたミッキーマウスを手に持って現われたのだ(※2)。 報道陣は、バカげた子供っぽい彼について囁き合い憶測したのであった。 ※2:マイケルはミッキーとミニーを招いて自分の泊まっているホテルで一緒にいると噂された事に対するマイケルのユーモア。等身大に引き伸ばしたミッキーの写真を持って現われた】
 数分後、ホテルから離れるリムジンの中のマイケルを見た。 ウォールストリート・ジャーナル(アメリカの経済新聞)を、彼は夢中で読んでいた。 フィナンシャル・タイムス(イギリスの株式新聞)にも夢中になっているらしい。

 ロンドン・セントラルの有名な店 “Foyles” での事。
 本棚の裏側から私に 「いないいないばぁ!」 をするマイケルを、私は覚えている。 また、違ったコーナーから彼は四つん這いになってその辺を這ったり、いきなり私に手を振り続けたりもした。
 それからマイケルは突然いなくなった。 次に彼が現われた時、子供用の本に出ているピーターパン・機関車トーマスのバスケットのカゴを、窓に近づけて立っているのだった。
 あとで判ったことだが、マイケルは多くの時間を、小説文学フィクション小説欄を気ままにゆっくり眺めて過ごし、アメリカの著者スコット・フィッツジェラルドや アーネスト・ヘミングウェイによる、並以上の重さのクラシック長編小説を選び出していたのだ。
 また、ある外出先ではピカデリーの “タワーレコード” に行き、クラシックのボックスCDセットを買った。

 マイケル・ジャクソンはその上、強靭な鉄のような手で、自身の5億ポンド帝国(※3)をも経営しているのだ。 ※3:5億ポンド=約750億円(当時)】
 側近が話してくれたが、マイケルはその日の自分の投資の査定を 最後の2時間に費やしているのだった。
 マイケルは、レコードとフィルムプロジェクト,さらにコンサートツアーを検討するためにマネージャーのジム・モリーに数時間会った。 モリーは生活のための仕事を保障されてはいない。 それは、マイケルは彼を第一線のマネージャーとして約束を実行し期待どおりに実現できる人物だとは思っていないからだ。
 『DANGEROUS』 のアルバム・セールス,全てのCDの印税1.60ポンドの売上高が 世界中で最高の記録を成しているのは、偶然ではないのだ。 一般標準のリベートは80ペンスだ。
 「マイケルは恥ずかしがり屋のお陰で隠遁した世捨て人」 のくだりを、私はまたも取り消す。

 マイケルが8年間、新聞・TVでのインタビューを拒絶したのは、内気だからではない。 マイケルは、自身を神秘性で巡らす価値の重要性を知っているからだ。
 マイケルは殆んどの公的な出番を全てコントロールしている    彼のために特別に休業してくれたお店の中でさえも    最大限の効果を考案されているのだ。 マイケルはいつも宣伝映像のためにオモチャ店と子供の病院を選択している。
 私は未だかつて、レストランの中で騒いでいるマイケルを見たことが無い。 多くのスターと同じではないのだ。 しかしこのツアーでは、殆んど到るところでマイケルは 『Heal the World基金』 のほどこしの為に頼みに出掛けている。 彼の10人の世話をする軍団と、黒く窓を塗りつぶしたメタリックのリムジンに包まれた総勢6台のキラキラ光る車の行列。
 いったい何人のボディガードが、ハーレムのオモチャ屋へ行くのに君には必要なのかい? それは、公的なためと確信した時からではないのかい?
 唯一、彼が邪魔されたくないと望むのは、ビジネスの取り引きをする時だ。
 先週2回、マイケルはドーチェスター・ホテルを誰にも知られずに抜け出している。 彼が最も信頼を寄せているビル・ブレイを含めて3人の世話係の人たちと共にこっそりと、古くて白い小型バンに乗り込んだのだった。

 マイケルが 「子供の話し相手になる時が最もリラックスしている時だ」 と言うのは真実だ。 これについて、ほんの少しでも悪意を匂わすような彼の言葉や表現を、決して見たり聞いたりしたことが無い。
 マイケルは子供たちと友情を結ぶ。 それは気取りのない率直さを感じ取れるからだ。 子供たちは、誠実・正直さのみをマイケルに提供するからなのだ。 大人は違った本質を持ち合わせている。
 7歳の時以来、マイケルは常に金儲けのマシーンの中で成長していたのだ。 側近の1人が話してくれたようにマイケルは、利益のために彼の一部を大人は欲しがっている・彼の名声にあやかりたがっていると悟らされたのだ。 あのブッシュ大統領でさえも、ホワイトハウスでマイケルと写真を撮るチャンスを貴重に思っているのだ。

 私は昔、マイケル・ジャクソンは変わり者だと信じていた。
 でも今は、実情がよく解った。 オンステージもオフステージも そのどちらも、いつもいつもショーマンであり続けるという彼の圧倒的な願望が、マイケルの魅力の秘密なのだ。
 マイケルは壊れやすいように見えるかもしれない。 しかし彼の実行力は、自身のあらゆる行動を完璧にコントロールしている。
 マイケル・ジャクソン、私たちはまさに彼を体験し、彼は私たちを必要としている。

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≡ メディアはこぞって Michael Jackson を吊るし上げているのか ≡
『Black Beat』誌  '96年1月号より
( VOL.83 / Feb 1996 )

 マスコミが、寄ってたかってエピックのスターであるマイケル・ジャクソンをあらゆるプレス組織的に叩いていると感じるのは私だけなのか、それともあなた方や世論もそう思っているのだろうか? 次々と新聞や雑誌・ワイドショー等がマイケルを攻撃し中傷した。
 私は今回、そういった脅かしや偏見についての意見を求められた。

 最初に思うのは、人種や肌の色・民族・財産等に関わらず 「有罪と決まるまでは無罪なのだ」 ということを皆が認めている事に誇りを持っている。
 この国において略奪行為やメディアの精神面への攻撃 (アルバム 『HIStory』 が発売になる前から批判していた) は、シンプソンの時にも感じられたのだが… 偏見の匂いがする、という事だ。
 『HIStory』 がジャネットとのデュエット曲 "Scream" のヒットという追い風を受けて、ビルボードのアルバム・トップ100に4週間1位を記録した日から、メディアの大半は凶暴な雄牛となり、マイケルのスターとしての才能や性格・果てはリサ・マリーとの結婚までも叩いてきた。 行間を読んで見ると、どうもプレスは目が眩んで、マイケルが '83年にリリースし 4,300万枚という売り上げを記録した傑作 『Thriller』 を上回ることが出来ないと予言しているようだ。
 くだらないタブロイドの見出しや記事・コラムからその論点を探ってみると… マイケルらしさを抹殺してしまったアルバムとし、今回の流行は何かの間違いで、 『HIStory』 はすぐに売れなくなる… という、悪意のあるものなのだ。
 一方、それらの記事が、世間のアルバムに対する熱烈な反応を挫くためにデッチ上げられた間違ったものであるとしても、それは何ら驚くことでもない。
 ともあれ 『HIStory』 が売り出される前日には、 「マイケルの30曲から成るCDを買う最初の人間になろう」 と、国中のレコード店の前に 夜中から何千というマイケルファンが列を作った。

 『HIStory』 に対する否定的なマスコミの作戦の中心となったのは、白人メディアによる 『証明されず、逮捕も起訴もされなかったマイケルの弱者との性的な関係を断言する』 というものだった。 そしてそれ以後は、リサ・マリーとの事になっていった。
 King Of Pop と King Of Rock の娘との結婚は、アメリカの自覚のない人種差別主義者たちの傷を突っつく事になり、2人は毎日のようにプレスに中傷された。 要点は、なぜ2人が結婚したのかという事,そして誰にも関係のない2人の性生活についてだった。
 このメディアのバカ騒ぎやその他の諸々の事など、2人の受けた仕打ちを思うと、マイケルとリサ・マリーは、この筆者に実に良くしてくれた。 実際、他の記者たちは怒るに違いないだろうが、ジャクソン夫人(リサ・マリー)の 「2人の初めての子供を期待している」 というリポートを載せることが出来た。

 黒人向けの雑誌 『Black Radio Exclusive』誌の出版者であるシドニー・ミラー氏は、マイケルがメディアの主流となり 公私にわたる攻撃を告発した頃、ちょうどそういった記事をトピックのターゲットとしていた。
 ミラー氏は、
 「マイケルはプレスの中で有罪となるよう仕向けられ、実際そうされてきた。
   裁判は、マイケルではなく 中傷を繰り返す記者に焦点を変えるべきだったんだ。」
 ミラー氏の勇気ある言葉は、素晴らしいアーティストであるマイケル・ジャクソンの代弁となっている。
 マイケルは25年以上、信じられないような音楽と 前例のないパフォーマンスを提供し続けてきた。 そして彼の設立した 『Heal the World基金』 は、沢山の子供たちの為のチャリティーや… 例えば我々がしているような世界中の運動の支援をしてきた。
 ミラー氏のように、これからも我々は声を大にして言わなくてはならない。 だから、これからもヒットは次々に生まれ続けるだろう。

 "You Are Not Alone" は、初登場1位となった 『HIStory』 からの初のシングルだ。 明らかにマイケルの “HIStory”は、まだ始まったばかりだ。
 出だしは期待ほどでもなかった 『Thriller』 のように、マイケル・ジャクソンは必ずもっと沢山の賞を手にし成功するだろう。 そしてそれはそれで、その時にはプレスも節操なく騒ぐのではないだろうか…。
 メディアのハゲワシ達! 覚えておいてほしい!
 マイケルを放っておいてくれ!
 Leave Michael alone!

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UPDATE - '08.04.08